鏡の向こう側に手を伸ばして
もう一人の私に触れる
瞳から口元にすべり
口から肩にかけてそっと

指でなぞった輪郭は
曖昧になり消えていく
過剰な太陽の熱がかすかに頬に伝わるが
私はその行為を続ける

彼女がこの世界に生きた証は
霧になって漂い始める
吸い込んだ空気の中
肺胞にへばりつく粘膜に溶けてゆく

机の上のコップには
澄んだ水がゆらゆら揺れたままだ
タバコが一本吸いたい

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