仲良くしよう。僕たちはきっと会う前から会うって決まってたみたいに、ぎゅっと結び付けられていたんだ違うかな?

え?勘違いもはなはだしいって?手を離してよしてよって?

この僕の愛を受け入れられないはずがないじゃないか。今君が僕の前に現れたということは、それは僕の快楽の一部になってくれるために決まっているじゃないか。

君は君のために僕にここで会うようにできていたんだ。そして君が今ここで僕にあえたのは、僕も僕でそれなりにがんばっていたからで、だから君は僕と僕の愛に感謝するべきなんだ。

君はきっと突然の衝撃で自分の中でのひそかな実感に自信が持てないんだ。怖がる必要はなくて、僕に身体を任せてくれたら自由にしてあげるのに。

警察を呼ぶって?呼べばいいさ。警察はたちまち君を縛り上げるよ。ここにあるのはそのために用意したガムテープと縄さ。ほら、君にはもう逃げ場はないんだ。早くこっちこいよ。

こんな風に絶対的な真理の持ち主君とその被害者さんを仮定することってできて、でも意外とこういう手に弱い人って多くて、そういう人を見てると僕がガムテープと縄を用意して縛ってしまいたくなる。

「もしもし」
「今すぐこの電話を切って!」

ガチャ。

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ。ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガ


ああ絆創膏はどこにいったんだろう。
お母さん?

あ、また君か。

しつこいなあ。もう分かったよ。君の相手をするのにはもう飽きたんだ。話すのは遅いし、結局いつも堂々めぐりじゃないか。そんなもの信じてるのが悪いんだよ。愛なんてさ。

そもそももう遅いんだ。君は縛られてるんだから。僕の人形でオブジェで、ただのモノと化した君は素敵だ。


はい、カットー。巻き戻して再生していただける?あ、ダメ。チョメですか。あーチョメ。息抜きに

梅干を食べたい。なめたい。かじりたい。
手のひらにのせた梅は思いのほか大きくて、というか小さいなりにそれなりの存在感を放っていた。
そしてそれは僕にとっての自由なんだと気付いた

気付いたその瞬間に僕は手のひらをギュット閉じて、赤い梅干が指の間から飛び出したのを舐めた。

そして僕は深呼吸をして、身体全体で今という自由を感じた。束縛から解き放たれたときの快楽。とても人間的な感情だと思った。

僕が梅がすきなのは、梅が唯一僕に愛を押し付けなかったからだ。

コメント

513
ヴァルハート
2008年7月15日22:23

はじめまして、春都と申します。
ブックマークありがとうございます。

この記事のタイトルに釣られて足跡を残しました。
面白いです、面白いって思っていいのか分かりませんが。

私の日記は最近情緒不安定気味ですが、
それでもよければ暇つぶしにでもしてください。
これからよろしくお願いします。

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